柔道帯への刺繍について

柔道帯は 厚みが厚い帯  ・  薄い帯  ・  硬い帯  ・  柔らかい帯  ・  女子用の白線入り帯 などさまざまです。

針が折れるリスクをかかえて刺繍されていると思います。

特に針折れリスクが高い、硬い帯 ・ 白線入り帯 へ 密集した文字や、影文字  縁取りししゅうなどがあります。

刺繍途中で針が折れた場合、折れ方によっては、折れた針で釜にキズが入り糸切れ多発の原因にもなります。

折れた針の破片が釜内部に食いつき 釜がロックしてしまい、釜交換などの修理をしなくてはならなくなります。

折れた針で、釜のキズや釜への食い込みのほかに、折れた針が帯の内部へ残ってしまう場合があります。

帯の中に針が残った場合は、刺繍を中断して針を取り除かなければいけません。

そのまま刺繍を続行すると、折れた針へ縫い針が接触して また針折れする泥沼へ陥ります。

折れた針のせいで、帯にキズやほころびが出る場合もあります。

預かり商品で失敗した場合、弁償しなくてはなりません。 

刺繍加工業者としては、弁償は避けたいものです。



そこで、野中ししゅう機販売では、帯をできるだけ安定的に刺繍できるように工夫をしています。


 1、針板の穴を2.5ミリの穴のタイプへ交換する。   場合によっては、3.0ミリに交換

 2、釜を偏芯釜から真円釜へ交換する

 3、針タイミングを遅らせる

 4、針と釜の隙間を0.5ミリへ変更する

 5、帯がばたつかないように 置き縫いステン板を使用し、帯専用のマグネットバーで上下を固定し、
     サイド固定バーも併用してがっちり固定する。

 6、さらにばたつきを軽減するために、シリコンスプレーを帯の両面に散布する

 7、刺繍糸を変更してもいい場合は、ウルトラポスのポリエステル刺繍糸へ変更する。

 8、縫い針をグロッツベッケルトのチタンメッキの DB×K5 12番の針へ変更する。

 9、ほぐし針を1色目に装着し、その針棒にボーリング設定をし、1回目ほぐし縫いをする。

10、ばたつかさない為に、刺繍する速度を800回転に設定して刺繍してください。
       速度を落とすと刺さった針が抜ける時の抜けやすさが悪くなり バタつきが出て 糸切れ・針折れが出やすくなります。


 そで刺繍と兼用できる 帯用置き縫いステン板枠
obi-003
上下の帯用マグネットバーは、中央をネオスポンジへ変更しています。

左右の揺れ防止マグネットステー グレー部分はPP素材を使用していて、針が接触しても問題ありません。


ボーリング機能で使用するほぐし針(野中製)

ほぐし針

ボーリングの設定方法

TMBPの場合

F3 ボタンを押すと下記画面が表示されます。
BP-001

 1、ボーリング が表示してますので、 [ SET ] を おします。

BP-002

[ NO ] が表示されていますので、 ジョグダイヤルの内側を回して  [ Step1 ] にします。

BP-003
 [ SET ]を押すと 針棒No へカーソルが移動するので、
ほぐし針を装着した針棒番号を ジョグダイヤルで指定します。

[ SET ] を押して決定して、 [ E ] ボタンを2回押してホーム画面へもどします。

ここでは、1針目にほぐし針を装着しています。




タジマ刺繍機のTMBRシリーズやTMBUシリーズは、独立駆動布押さえですので、ここまでしなくても
刺繍ができます。    [ D C P ] 機構といいます。   複数頭のTMARも D C P 搭載機です。
[ D C P ] 機構は、針が素材から抜けた時点で布押さえが上昇するので、バタつきません。




かなり昔ですが、あるネーム屋さんが帯への刺繍をするために、木槌でたたいて柔らかくしておられました。

主人いわく、帯への刺繍を依頼した客の前では この行為は出来ないなぁ  と言っておられました。

そして、ロウ紙を下にひいて 横ぶりミシンで刺繍されてました。


Mさん これでどうでしょう。